【家系図コラム】 少子化と家系 – 家系図作成のハッピーメモリーズ

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【家系図コラム】 少子化と家系

【家系図コラム】 少子化と家系

現在の社会的課題に対して家族や家系図の視点から考えてみたいと思います。
今回のテーマは『少子化と家系』です。国も少子化対策として児童手当や給付金を子育て支援に充てるために奔走していますがどの程度まで国民の意識が変わるのかまだまだ時間がかかりそうです。少子化の原因は複合的であり、国民全体の意識と個々の事情が複雑に絡み合っていますので総合的な対策案が必要になる事は言うまでもありませんが、少子化の原因として一般的には非婚化、晩婚化、養育費用の増加の3つがあげられています。

目次

少子化の要因

主に経済先進国は少子化に陥るという世界的共通点があり経済力の推移が非婚や晩婚に影響を与え、また先進国の競争意識が子育てへの考え方にも影響を与えているという点に注目しています。日本でも比較的貧しかった時代では子供は『働き手』と考えられていてたくさんの子供を産んで労働力を増やす事に意識が傾くというのですが、いったん経済的に安定すると次第に持続や安定に意識が傾き、少数の子供に多くの養育費用を投入して学歴向上への意識が膨らみ、より有能で他者に劣らない子育て環境を重視するようになると言われています。また女性の選択の幅が昔より大きく広がるようになり、結婚や出産も国民の通過儀礼ではなくなり、個人の自由選択の一部となりました。むしろ結婚や出産が時間や経済の消耗につながると思うようになり結婚、出産のデメリットが重く個々の負担になってリスクを冒してまでも結婚や出産はしたくないと感じている人も少なくありません。さらに家庭を持つ事でさまざまな悩みや不安に直面するようになる事を目の当たりにし、ひとりの方がより気軽に生きて行けるという思いも生まれてくるものです。結婚や出産にもメリットはいろいろあるのですがデメリットを克服できるだけの魅力を感じないという話もよく耳にします。究極的には『経済』を取るか、『子供』を取るかという選択にもなります。子供を産めば国が補償してくれるという政策は確かにハードルを低くする事につながるとは思いますが経済と子育ての両方を選択するには外的な経済支援だけではなく『メンタル』も重要ではないかと思っています。

少子化とメンタル

ではメンタルに関してまでも国が補償するべきなのでしょうか。それは国を含めて他者からの支援だけでは補えない領域かもしれません。国体というものは『政治』『経済』『宗教』の3本柱のバランスで構成されるものです。この3つのバランスはとても重要で国力そのものにもつながります。この中でも特にないがしろにされがちな『宗教』あるいは『国家宗教』というものは意外と重要で個々のアイデンティティ・メンタルにも関係するものです。 国に魅力がない、夢がない、ヴィジョンがないとなると精神的な支柱となるものが失われ中心不在の弱いものになれば国民の所属意識も薄れるでしょう。かといってメンタルは強制できるものではありません。個々に委ねられるものでもあります。しかし宗教性は間違いなく政治・経済にも影響を与えるものです。日本は古くから『祖霊信仰』の国家です。さらに神道、仏教、儒教などを習合して『日本教』というものが当たり前のように継承されていました。この辺りを論ずるとどこまでも文章が長くなりますので端折りますが日本の精神性の刷新が個々の主体性を刺激しつつ現在の課題を克服できるものに昇華された場合には、日本を含む近隣諸国、そして国際的にも大きな力にもつながるものと思います。

家族力の核 「夫婦の在り方」

そして精神の復興の基本となる土壌はやはり家族だと考えています。国力の根底は家族力であり、その家族力の核になるものは『夫婦の在り方』です。家系学というものを研究していると代々の夫婦の関係が、家系と家族の生命力にも大きく関係する事がよくわかるようになります。私は講演会をよくするのですが、その内容の中に『家族は墓圏』というタイトルがあります。代々の夫婦を弔う事は血と縁を尊ぶ事に通じ、さらに今を生きている夫婦それぞれがまた生まれ変わっても永遠に今の家族と共に生き続けたいという愛と感動の圏内の事を『墓圏』と言っています。亡くなったら一緒に墓に入りたいという気持ちはとても重要で、それを生きている人が育むことは後の家族関係の在り方にも大きく影響を与える事になるものです。『顕幽一如の菩提(けんゆういちじょのぼだい)』という言葉もありますが死者も生者も歓喜や感動を生み出すためにお互いに慈しみ施し合う関係を先祖供養のカタチとして供える事は家族の成長と発展に欠かせないものだと考えております。先祖一人一人の歴史を調べて夫婦をきれいにつないで弔い、お互いの信頼を絶対視しながら感謝の心で生活する姿を生み出していく事が『家族力』につながるのではないかと思っております。つまり先祖への心の持ち方も、神仏への心の持ち方も、今を生きている人により成熟したものに昇華させる事ができるものであり、私たちが『夫婦』となり、『父母』になる事は既に自分たちのためではなく公共的な役割をもったものになります。家族に対してこのような価値観や宗教的意味付けを生み出し現在の家族を刷新する事は少子化対策の経済的支援に加えて、情操的支援というものを提供できる事が必要なのではないかと思っております。『少子化と家系』をテーマにした内容はさらにもっと深い内容もありますのが、今回は序章として記事にさせていただきました。私たちの研究が一人一人の意識の変化につながれば幸いです。

 

 

この記事を書いた人

小川敬(おがわたかし)

小川敬(おがわたかし)

ハッピーメモリーズ専属講師

これまで29年間、家系図制作会社に勤務し、家系図の調査や作成に携わる。

その中で数多くの家族と向き合い、家族問題への理解を深める為に家族療法家であるボーエンの文献に触れ個人の心の問題や家族の成長を支援する為の研究を積み重ねる。

10000件を超えるデータの集積と心理学の研究を深め全国各地において「家系図の重要性」・「家系から学ぶ家系学」を広める講演活動を展開している。

著書:『ハッピーセラピー 読むだけで悩みが解ける家系学』

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