家系図と過去帳は同じもの?違いを解説!
家系図の作成をしたいと考えている方の中には、過去帳との違いがわからないと思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、過去帳は家系図と全く異なるものです。
今回は家系図と過去帳の違いや、過去帳を家系図の作成に役立てる方法をご紹介いたします。
家系図と過去帳の違い
「過去帳」と聞いたことはあっても、実際にどういったものかわからないという方のために、ここでは「過去帳」と「家系図」の違いについて解説します。
過去帳とは
過去帳とは、先祖代々の俗名(ぞくみょう)と戒名(かいみょう)が記されている帳面で仏具の一種です。没年月日や亡くなったときの年齢などが書き記されていることもあり、故人の名簿のような役割があります。過去帳は基本的に仏教で用いられており、仏教徒の方が亡くなったときに作成するものと考えておくとよいでしょう。故人を供養する命日の覚書としても重要なものであり、代々保管することでその家の系譜としての役割も担っています。
家系図とは
家系図は「一族の系統が書かれたもの」です。日本の家系図は、主に家督相続の継承の系統を示すために作成されてきました。そのため、記されている内容も享年や財産、職業、所領などさまざまです。
しかし最近では、元来の目的にとらわれず、「自分のルーツを知るため」という目的で作成されることが多くなっています。
家系図は、過去帳に記載されている情報を血筋や婚姻、親族関係で整理し、見やすくした図表と理解するとわかりやすいでしょう。
過去帳は宗派によって扱いが異なる
浄土真宗では位牌に魂が宿るという考えがなく、位牌を祀る代わりに過去帳を仏壇に飾ります。とはいえ、近年では位牌を置く人も多くなっているため、どうするか迷った場合はお寺と相談するとよいでしょう。
日蓮宗の場合、毎日の勤行に過去帳を使用するのが一般的です。日蓮宗の過去帳には、一族の情報以外に、日蓮大聖人などの命日が書かれています。お題目も記載されているので、毎日のお勤めに必要なのです。
キリスト教の場合
キリスト教に、過去帳はありません。しかし、似たようなものに信徒籍台帳(信徒記録票)があります。
信徒籍台帳は、信者の教会への所属を記録しておくために教会が作成する台帳で、過去帳のように家で保管するという慣習はありません。
過去帳は家系図の作成にも役立つ
家系図を作成する際に、過去帳はとても役に立つと言われています。それは一体なぜなのでしょうか。
なぜ過去帳が家系図の作成に役立つ?
戸籍謄本では江戸時代の後期頃までしかさかのぼることができませんが、過去帳にはそれ以前の先祖についても記録されていることがあります。先祖代々のお墓があれば、多くの場合、過去帳も一緒に保管されているので、家系図を作成する場合には過去帳を調べてみるとよいでしょう。
過去帳を調べる方法
過去帳は家庭で保管するほか、お寺で保管しているものもあります。お寺で保管している過去帳を閲覧したい場合は、お寺のご住職にご先祖様の記録だけを抜き出してまとめてもらうように依頼するとよいでしょう。自分で書き写すこともできますが、膨大な記録の中から必要な部分のみを数時間で抜粋するのは至難の業ですし、昔の字はとても見づらいため、ご住職にお願いするほうが無難です。
ただし、記録をお願いしたら、1〜2か月は待つくらいの心構えが必要です。そして、でき上がった過去帳の内容が思ったより少なくても文句を言ってはいけません。たとえ、すべて知っている内容だったとしてもです。なぜなら、江戸時代は火事が多く、ほとんどのお寺が火災に遭っていて、過去帳は焼失していると考えられるからです。
また、過去帳を調べる際は独断で行わず、本家などと相談することを忘れないでください。
お寺と本家の仲を不仲にしないためにも、不満を言わないようにし、勝手な行動は慎みましょう。
ただし過去帳を見せてもらうのは難しいことがある
過去帳は、基本的にお寺の人間以外、自由に閲覧できるものではありません。
個人情報にあたるだけでなく、過去にあった部落差別に関する内容が記載されていることもあるからです。
また、過去帳は家ごとにまとめられているわけではなく、日付の古い順に記されているため、先祖の情報だけでなく、他の家の記録まで知ることになってしまいます。
このように個人情報保護の観点から、気軽に見ることはできないと考えておきましょう。
もしお寺に拒否された場合は、地元の本家などを頼るほうがいいかもしれません。
まとめ
家系図の作成は、古い戸籍や過去帳を用いて情報を整理することから始まり、ご先祖様の系譜をたどって自分のルーツを知ることができます。身内の集まる場に家系図があったら、きっと興味深いエピソードも聞けるでしょう。
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